私たちは、人事分野におけるテクノロジー活用やデータの分析結果を経営に活かすことを推進する団体です。

地銀セミナーレポート

2018年5月22日(火)に一般社団法人 全国地方銀行協会の協力の下、全国の地方銀行の東京事務所の方々向けに開催されたセミナー『HRテクノロジーを活用した働き方改革の最新動向と事例紹介』の模様をレポートします。最先端のHRテクノロジーサービスとそれを活用する大手企業の取り組み事例から、働き方改革を推進するためのヒントとしてご活用ください。

働き方改革とHRテクノロジー活用の動向

働き方改革の最新動向

■働き方改革 第2章の本質

・勤務時間や勤続年数ではなく、成果と生産性に基づく評価へ
・時間や場所、契約に縛られない、柔軟かつ多様な働き方の実現
・スキルの絶え間ないアップデートと、キャリア・オーナーシップによるプロフェッショナル化

香川氏「長時間労働の是正は、働き方改革の入り口にすぎません。経済産業省が次のフェーズとして掲げているのが、働き方改革 第2章。最大のキーワードは”生産性の向上”です。」

■生産性を向上させるための3ステップ

1:コストを下げる(要らないことを戦略的にやめる)
2:付加価値を高める(一人ひとりのスキルとモチベーションを高める、チームの力を上げる、投資によるイノベーション)
3:全体最適(低生産性分野から高生産性分野に経営資源をシフトする)

香川氏「この3ステップを踏んで生産性の向上を果たすと、結果として売上と利益の上昇につながります。」

 

HRテクノロジー活用の動向

香川氏「アメリカではHRテクノロジー領域のベンチャー企業への投資額は2012年以降5年間で”累計5千億円”を超過し、新サービスが続々と登場しています。日本ではベンチャーキャピタルの年間総投資額が1千億円程度ですから、大幅に遅れを取っている状況です。」

■HRテクノロジー活用のレイヤー

・タレントマネジメント(リーダークラスのマネジメント)
・パフォーマンスマネジメント(給与査定や人事評価、潜在能力を引き出す)
・エンゲージメント(企業風土に対するエンゲージメントの可視化)
・プラットフォーム(健康経営、RPA、ピープルアナリティクス)

■HRテクノロジー活用のポイント(まとめ)

・まず、分析結果の活用の目的を明確にする
・次に、蓄積すべきHRデータを定義する(基本属性情報、勤怠情報、画像情報等)
・分析手法を選択する(統計分析、機械学習、ディープラーニング、AI)
・アウトプットをどう活用するかを決定しPDCA化する

 

大手金融機関における従業員エンゲージメント向上への取り組み

1:株式会社Emotion Tech

今西氏「株式会社Emotion Techは、感情をテクノロジーで分析して従業員の生産性を向上させるサービスを提供しています。働き方改革に主体的に取り組み、投資を進めている大手企業が取引先の大半です。本日は日本を代表する大手金融機関における取り組み事例をご紹介します。」

■従来の従業員調査の課題

・サーベイ実施による疲弊
・分析速度の遅さ、分析精度の低さ
・年一回の調査の限界

■3つの課題解決方法と従業員エンゲージメントの取り組み

(1)シンプルな質問とエンゲージメント指標
今西氏「全世界で採用されている従業員エンゲージメント指標”eNPS(=Employee Net Promoter Score)”を活用しています。これは一言で言うと、従業員ロイヤルティ(職場に対する愛着・信頼の度合い)を数値化するもの。4〜5分で完了するシンプルな質問で、回答者への不可を軽減しています。」

(2)統計解析を用いて重要な改善点を即時に閲覧
今西氏「統計解析を用いることで、最も効果的な改善点を数値化。エンゲージメントを低下させている重要な要因を明確化し、効果的な施策を打つことができます。」

(3)3ヶ月毎の定期的な調査・分析で効果的な改善
今西氏「【調査】→【分析】→【改善】→【効果検証】を迅速なサイクルで回すことで、正確な施策を打てるようになります。きめ細やかなマネジメントで従業員のエンゲージメントが高めることは、業務クオリティの向上と、その先にある売上や収益の上昇に有効です。」

2:録画面接 Hire Vue

香川氏「Hire Vueとは、いわゆる録画面接です。アメリカのサービスで約2年前に日本に上陸しました。時間と空間の制約がないため、面接の効率を劇的にアップ可能。ある大企業は一次面接のスクリーニングに活用しており、物理的工数の大幅な削減に成功しています。」

■面接に「録画面接」を導入するメリット

・面接所要時間の短縮
・採用コストの削減
・無駄な待ち時間の減少
・リクルーターの生産性の増加

香川氏「過去の録画面接データが蓄積されれば、AIによって”言葉・音声・表情”の3点のパターンを分析し、将来の活躍人材を予測までも可能になります。このサービスは2018年6月より日本の代理店タレンタによりリリース予定です。」

3:退職予防サービス 勤怠データを活用するリスク予測

香川氏「株式会社ペイロールが給与計算アウトソーシング事業を通じて蓄積した、膨大なHRデータを活用して開発されたサービスです。

■退職予測サービスを導入する企業で発生している課題

・退職者の発生→業務負荷の拡大/採用の難航→退職者の増加という負のループ
・新規採用する場合に発生する実質的な流出コストの増加
・優秀な人材の退職による売上・粗利の減少

香川氏「従業員の性別や生年月日などの”属性データ”と、残業時間、休暇日数などの”勤怠情報データ”を収集し分析します。個人別の退職リスクや部門単位の労務リスクを予測し、事前に対策を打つことが可能です。」

HRテクノロジーを活用した働き方改革実現に向けて

■働き方改革の実現に必要な3つのポイント

・経営トップのコミットメント
・全体像を把握とロードマップの策定
・全社統合的なデータマネジメントとKPIの設定

香川氏「働き方改革の施策を実行しても目に見える成果を示せないと改革の意欲がトーンダウンしかねません。まずは、小さな成功事例を出すことが鍵です。長期的な取り組みをする覚悟を持ちながら、成功事例を積み重ねて現場と一体でモチベーションをあげていく。それが大きな成果につながるでしょう。」

まとめ

働き方改革とHRテクノロジー市場の最新動向や活用方法の取り組み事例に対し、参加者は自社の経営課題、人事課題を重ねる形で熱心に耳を傾けていらっしゃいました。一口に「働き方改革」と言っても、抱えている課題や解決の難易度は企業によって様々です。一歩先を行く企業の事例を参考にしながら、課題の特定と解決に向けた推進方法を具体的に検討すべき時期が来ていると言えるでしょう。

 

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