私たちは、人事分野におけるテクノロジー活用やデータの分析結果を経営に活かすことを推進する団体です。

働き方改革xHRテクノロジーWG

『働き方改革×HRテクノロジー』ワーキンググループ(以下、「WG」)の立ち上げにともなう第一回目となるセミナーが、2017年12月20日(水)に、東京・飯田橋のJINSオフィス内セミナールームにて開催された。

今回のテーマは、初回にふさわしく、働き方の起点となる「採用」。「採用領域におけるHRテクノロジーの先進的な事例と企業革新に繋げるための活用法紹介」と題し、デジタル面接の「HireVue」と、採用に続くオンボーディング・プログラムの「新入社員育成プランナー」、この2つのソリューションを中心とした解決事例により深掘りされていった。

 

■株式会社ペイロール 営業本部営業部 部長 浅井周嗣氏

株式会社ペイロール 営業本部営業部部長 浅井周嗣氏

冒頭、『働き方改革×HRテクノロジー』WGを主催・幹事を務めるペイロール浅井周嗣氏より、WGキックオフの挨拶として、「『働き方改革』を通して、より強い、より良い会社づくりのために、HR テクノロジー を用いた知見をWGで共有していこう」という目的が語られた。

 

また、今回の「採用」に続き、今後のテーマとして、第2回は「研修、モチベーション、エンゲージメント」、第3回は「メンタルリスク・退職と労務リスク対策 働き方の“見える化”」を予定しており、人事の「ゆりかごから墓場まで」のソリューションを体系的にフォローしていくという。

 

■タレンタ株式会社 専務取締役CFO 中村究氏

タレンタ株式会社 専務取締役CFO 中村究氏

タレンタの中村究氏は、いつでもどこでもスマートフォンから受けられる「デジタル面接」の導入により、「面接所用時間50%短縮」「採用コスト24%削減」「無駄な待ち時間25%減少」「リクルーターの生産性30%向上」と、その効果を述べた。

特に、タレンタが日本総代理店を務めるクラウド型デジタル面接プラットフォーム「HireVue」は、IBM、Apple、amazonなど世界の著名企業650社以上、Fortune Top 100企業の33%で利用されており、前述の効果を実証済みだという。

デジタル面接はリアルタイムの「ライブ面接」のみならず、「録画面接」という候補者がセルフ(自撮り)で設問に回答を撮影する手法を活用することで、既存の履歴書、エントリーシート、適性検査、筆記試験といった非対面選考手法の補足/代替はもちろん、その動画ならではの圧倒的なデータ量から、導入企業では、グループワーク/ディスカッションといった対面選考手法の代替も進んでいると語った。

 

ビデオ録画問題以外にも、従来のエントリーシートや適性試験のように使える記述式問題、選択式問題などを備えるばかりか、さらにソフトウェアエンジニア向けにはプログラミング能力評価も可能だという。

中でも職場で実際に起こりうる状況をドラマのように再現し、対処方法を考えさせる「シナリオ問題」が好評とのことで、中村氏は「星野リゾート」での導入事例を紹介。求められる臨機応変なホスピタリティを効率的に測定できると同時に、インタラクティブな仮想職業体験として候補者の志望度を向上させる副次的な効果も見られたという。

また、AIが録画データ内「言葉、音声、表情」のパターン分析を行い、その候補者の活躍可能性をパーセンテージで示す機能を紹介。選考プロセスの生産性を劇的に向上させ、人間は人間にしかできない対面の候補者コミュニケーションに集中するという、「デジタル採用革命」時代のソリューションを提案した。

 

■株式会社ODKソリューションズ 事業開発部 担当課長 河合勇治氏

株式会社ODKソリューションズ 事業開発部担当課長 河合勇治氏

中村氏より、「HireVue」国内導入第一号として紹介されたODKソリューションズの河合勇治氏は、実際に同社で使われている「HireVue」管理者画面・候補者画面を投影するとともに、「大企業の導入事例のみが語られがちだが、当社のように社員数200名・年間新卒採用10名という採用規模でも大きなメリットがあった」と語った。

同社では、従来はエントリーシートの後にあった適性検査を「録画面接」へと置き換えることで、スクリーニング精度の向上を計ったという。結果、河合氏は「一次面接へ進む人数は減ったが、最終面接合格の人数は変わらなかった。つまり、これまで絞り込みにかけていた工数が削減できたということ」と分析。

また、「デジタル面接」によって、多忙な事業部門との日程調整や、複数拠点間の調整がやりやすくなったと延べ、地方創生やグローバル化時代の採用課題解決への応用を期待させた。

 

■モティファイ株式会社 CEO Gustavo Dore氏

モティファイ株式会社 CEO Gustavo Dore 氏

モティファイの Gustavo Dore氏は、自身の日本でのサラリーマンとしての就業経験もふまえ、「日本の会社で引き起こるあらゆる問題は、社員個人のスキル不足とマネジャーのスキル不足に帰結できる」と語る。

特に新入社員のオンボーディングではそれが顕著であり、どんなに「採用」がうまくいったとしても、早期に退職されたり、能力を発揮できなかったりすれば意味はないと述べた。

そこで、人事=HRテックのみならず、会社全体で取り組むべき「ワークフォース・テック」のアプローチによる、オンボーディング・プログラム「新入社員育成プランナー」というソリューションを紹介。

入社直後の「ハネムーン期」が過ぎ、モチベーションが下落する「カルチャーショック期」を乗り越え、報酬と成果が見合う「安定期」まで移行させるために、マネジャー・新入社員間コミュニケーションのアクション・プランを、企業ごとにカスタマイズしてアプリ上で提供できるという。

Dore氏は、フォーブスマガジン編集者である Victor Lipman の「社員は会社を辞めるのではなく、ボスを辞める」という言葉を引用し、オンボーディングのリスクを管理する重要性を訴えた。

 

■株式会社ジンズ JINSMEMEグループ マネジャー 井上一鷹氏

株式会社ジンズ JINSMEMEグループ マネジャー 井上一鷹氏

最後に、今回のセミナー会場となったジンズの井上一鷹氏が登壇し、「働き方改革」の最重要課題の一つでもある「労働生産性」向上の鍵となり得る「集中力」について語った。

その集中力を測定できるデバイス「JINS MEME」から得た膨大な知見をもとに、2017年12月にオープンした、世界一集中できる場を目指す会員制ワークスペース「Think Lab」の特別見学会を開催。

「仕事の効率化はAIに任せ、人間はイノベーティブな仕事をやるべき。そのイノベーションは『知の探索』=コミュニケーションだけでは生まれない。先に「知の深化」=個の集中があってこそ」と述べ、「Think Lab」における、科学的データにもとづいた「空間」「集中コンテンツ」「プログラム」について質疑応答を交えながら一つひとつ案内していった。

 

取材・文/写真:
株式会社ハッカズーク 取締役/アルムナイ情報特化型メディア「アルムナビ」編集長
株式会社スケッチ・オブ・デザイン 代表取締役
勝又啓太