私たちは、人事分野におけるテクノロジー活用やデータの分析結果を経営に活かすことを推進する団体です。

次世代人事部モデル策定プロジェクトWG開催にあたって

1. 開催にあたって

多様化する個のニーズをどこまで組織に取り込み、勝てる(世の中に必要とされるサービスを生み出すという意味で)組織を作れるか? 個人だけがいい、組織だけがいいということではなく、相乗効果を生み出す仕組みとしての“人事部”である必要がある。

人材の流動性は、今後間違いなく高まっていく。しかし決して1社での終身雇用を前提しないまでも、個人がその会社(またはプロジェクト)のメンバーシップとなった時に、いかに組織と個人のパフォーマンスを最大化できるか――まさにその機能こそが、HRの定義であり、今改めて、人事部門に求められている能力だ。

これまで、One HRでは、100年続く個人と組織を創るためのHR版SDGsを策定し、公開し、多くの賛同者を集めてきた。そして、その実装のために、経産省とともに大企業・スタートアップ・外資の人事担当者及び経営者、SDGs推進者、人材サービサーとともに、次世代人事部モデルを策定するための議論を展開してきた。次世代人事部モデルとしては、人事部の業務オペレーションの変革、ひいては、人事部組織編成の各組織の機能の次世代の在り方についても、ひとつの次世代モデルとして提唱していきたいという思いから、今回のワーキンググループを立ち上げました。

 

2.人事の人事として、人事の仕事の仕方と人事部内の各組織機能の変化させないことには、点の働き方改革で終わってしまう。

働き方改革がスタートして以降、社会の働き方に関する意識は高まった。いわゆるマインドセットは醸成されたと言ってもいい。しかし、それらを実行する人事部の組織体制は旧態依然のままだ。組織体制を変えない限り、本質的には何も変わっていかないのではないか。

改めて、紐解くと、終身雇用前提のもと、大量生産大量消費モデルで経済成長をとげることができていた時代背景では、費やす時間が多ければ生産性はあがる、言い換えれば、「長く仕事をしていれば能力があがる」というコンセンサスのもと、職務遂行能力と会社の在籍年数が比例する関係が成立していた。

そのため、職能給のもと、年功序列の終身雇用を前提とした、いわゆる、メンバーシップ型雇用となっていたわけである。そのような、メンバーシップ型雇用では、新卒一括採用のもと、階層別に研修を組み、社内で人を育てることをできていれば、人事は機能したわけである。

しかし、2000年代に入り、ジョブ型という言い方で表現されることもあるが、職能給に対して、職務給の考え方が入ってきた。グローバル・スタンダードとして、Pay for Performanceを合言葉に、成果主義の導入が図られたジョブ型雇用では、「ジョブディスクリプション(職務記述書)」で職務や勤務地、労働時間などを明確に定めて雇用契約を結び、ジョブディスクリプションをベースに人材マネジメントを進めてきた。
人事が求められる要素は、能力がある人に対して対価を払う職能主義から、2000年代に入り、やった仕事自体に対して対価を払う職務主義の考え方にシフトしてきた背景もあり、今日においては、そのハイブリッド型で、役割に基づく成果主義として、職務要素と職能要素とが混在し、うまく、働き手には伝わっていないように感じる。
つまり、我々人事の役割は、「組織」と「個人」 で最高のパフォーマンスを発揮することとし、価値創造の源泉が「個」であることは自明であるが、現代の組織は「個」の価値を最大化させる仕組みが十分に機能しているとは言い難い点がある。

多くのケースでは、「成果主義」のもと、「目標管理」を実施し、毎期、事業計画上の実利益貢献等を「評価軸」に置く事業スタイルを優先し、「個」の意識や幸福感について配慮スタイルは少数といってもいいのではないか。
次世代型人事部モデルでは、SDGsをベースに社会や組織の発展に向けた『ソーシャル・コーポレートウェルビーイング』と、社会・組織で働くすべての人々の『ヒューマン・ウェルビーイング』の調和の実現に向けた、人事・総務・IT・CSR、垣根をなくした総合的にプラニングされた「仕組み」の構築を目指しております。
つまり、組織一人ひとりの「個の総力」が企業価値を高めることと、仕事と暮らしを両立した人生の生き甲斐を実感できる「働き方」の実現の両立構造を創り出していきます。
そのためには、従来の人事部のシステムを再構築する必要があると考えている。

 

3.平成型人事部モデルから令和型人事部モデルへのシフト

セールスフォース・ドットコムでは、人事部門は「エンプロイー・サクセス(Employee Success)」企業の目的は「カスタマー・サクセス」ですが、それを支えているのは社員であり、その社員の成功を支援するのが人事部門のゴールだという意味でつけられたものでした。

以下の令和型人事部モデルの特徴を示しておくと、この個人の自己実現のアプローチが明確に新たに加わった点である。

これまでの平成型人事部モデルの要素は、そのままにそれぞれの機能の高度化を図りながらも縦軸として、集約され維持されながら、新たに、先述の自己実現へのアプローチが横軸として加わった格好である。
例えば、これまで100名の人事部組織で業務を回していた前提であれば、50名でこれまで業務をテクノロジーも活用しながら、高度化させ、残りの50名で新規に横軸の機能における業務を構築していくのだ。

平成型人事部モデル

平成型人事部モデル_従来の特徴と今後の方向性出典:経済産業政策局産業人材政策室 人材マネジメントの在り方に関する課題意識 資料

令和型人事部モデルへの移行

令和型人事部モデル

令和型人事部モデルの狙いは、”組織と個人の成長を支える、Holonic Management 「個と全体の有機的調和」型の新しい人事部モデル(仕組み化)とすることである。

 

4.今後のアクション

HRテクノロジー・コンソーシアムでは、「次世代人事部モデル策定プロジェクト」と題して、”組織と個人の成長を支える、Holonic Management 「個と全体の有機的調和」型の新しい人事部モデル(仕組み化)を策定していきたい。その先に、その仕組みを実行する上えで新たな人事部組織体制をウルリッチ氏の提唱した4つの機能も踏まえた上で、次世代型の令和時代の働き手の意識変革にもあった新たな人事部の組織編成を構築していきたい。

■ウルリッチ氏の提唱した4つの機能
1.HRビジネスパートナー(HRBP)

経営者・事業責任者に対するビジネス上のパートナーとして、事業戦略を十分理解し特に人と組織の面から戦略を立案・実行するプロフェッショナル

2.センター・オブ・エクセレンス(CoE)

人事の各専門部門の統括を行うとともに全社に関わるような「人事制度のポリシー」設計や制度作りを行います。また、HRビジネスパートナーを支える存在

3.オペレーション部門

人事の実務のエキスパートです。従来の給与システム、人事システムの運用や労務管理

4.組織開発(OD)と人材開発(TD)

戦略人事には欠かせない、組織開発をけん引。さらにビジネスリーダーとなりうる人材の育成